人口構成と日本経済(1/5)半永久的な「凧形ピラミッド」の縮小再生産
2021.04.01地方の人口減少を受け、「東京圏vs.地方圏」の対立軸がしばしば持ち出される。しかし、これは将来の日本経済の主題ではない。そもそも地方消滅論自体が、誤解を招きやすいものだった。
根拠とされたのは、20~39歳の女性の数が2040年までに地方で大幅に減るという試算だった。しかし、試算をさらに先まで延長すれば、東京圏でも同じ事態が起きる結果になっただろう。地方消滅とみえた事態は、日本全体の人口減少の過渡的な現象にすぎない。
東京一極集中論もミスリーディングだ。実際に起きているのは、東京一極集中というよりも、大阪市や札幌市、福岡市を含む狭い圏域への人口凝縮だ。これも人口減少に伴う労働力不足の反映である。
人口減少は、日本全国あまねく直面する問題だ。日本経済の真の課題は、①深刻化する労働力不足をどのようにして緩和するかと、②労働力不足という現実をふまえ、経済社会をどう変革し、世界の中で生き抜いていくかである。
当コラムでは、これまで人口動態の問題を繰り返し取り扱ってきた。今回これを総括し、改めて日本経済への処方箋を考えてみたい。数本のシリーズ(各5回程度)、毎月2回程度の掲載を予定している。第1シリーズは「人口構成と日本経済」である。