トランプ政権の関税・通商政策を考える ~「理念なきディール」のもとで同盟関係はどこまで保てるのか
2025.07.01米国トランプ大統領の奔放な発言に目を奪われがちだが、同政権の関税・通商政策は「場当たり的」ではなく、用意周到に進められてきた。
経済学の観点からは、反論の余地が大きい。だが、もともと「MAGA(Make America Great Again)」を掲げ、通商・関税政策と防衛・軍事政策を一体として進めているだけに、いかなる反論も同じ土俵上での議論にはなりにくい。
むしろ下手な反論は「脅しで突き返されるだけ」との諦観も漂う。
さりとて、人権や民主主義などの理念を共有しないままでの「ディール」や、国内支持層へのアピールを優先する政治姿勢のもとで、政権が想定する安定的な世界秩序が実現するとは考えにくい。
この先、世界はどこへ向かうのか。若干の考察を試みよう。