金融経済イニシアティブ

山本謙三のコラム・オピニオン

山本謙三による金融・経済コラムです。

人口移動の「目標」は達成困難?

政府が2014年に開始した「地方創生」には、いくつかの数値目標が設けられている。なかでも、東京一極集中の是正を強調する「地方創生」にとって、「東京圏への人口転出入を2020年時点で均衡させる」は目玉ともいえる目標だろう。

銀行業はどこへ向かうか ~通信業と何が類似し、何がちがうか

2018.01.04

類似する銀行業と通信業の経営環境

銀行業の経営環境は、通信業に類似している。その理由は、両者とも巨大な装置産業だからだ。事業の中核にあるシステム構築に、巨額の初期費用がかかる。

この場合、サービスをより多く提供するほど、平均的なコストが下がる。経済学でいう「限界費用逓減」だ。

内部留保は「貯金」にあらず

最近、企業の内部留保の増加がしばしば批判の対象とされる。「給与や配当に回さず、内部留保をただ溜め込んでいる」といった批判だ。先の総選挙でも、「大企業の内部留保への課税検討」を公約に掲げた政党があった。

しかし、企業のバランスシートから分かるように、内部留保(=利益剰余金)は「貯金」ではない。

なぜ中央銀行の債務超過は困るのか? ~価格発見機能の低下の論点から

2017.11.01

価格発見機能とは?

異次元緩和の「出口」で、日本銀行が債務超過に陥る可能性が懸念されている。本稿では、中央銀行の財務と長期債市場の価格発見機能の関係について整理しておきたい(注1)

消えたKPI実績値 ~開業率、廃業率の謎

2017.10.02

KPI実績値が消えた

政府の成長戦略のなかに、「開業率が廃業率を上回る状態にし、開業率・廃業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す」というKPI(Key Performance Indicator )がある。その取り扱いが本年から変わった。

本年版(「未来投資戦略2017」)はこれを本文中には明記せず、添付の中短期工程表に一文を載せているだけだ。この結果、昨年まで併記されてきたKPIの実績値も、本年版からは抜け落ちている(参考1参照)。

円安はなぜよいことばかりではないのか ~多国籍化する中堅・中小企業

2017.09.01

グローバル・バリュー・チェーンの時代

グローバル・バリュー・チェーンの時代だ。グローバル・サプライ・チェーンとも呼ばれる。

情報通信技術の革新とともに、多くの財、サービスが複数の国や地域の手を経てつくられるようになった。OECDはその特徴を次のように述べる(参考1)。

なぜ働き方改革には「定年制の見直し」が欠かせないのか ~人口ボーナス、人口オーナスの大いなる誤解

2017.08.01

人口ボーナス、人口オーナスをめぐる誤解

「人口ボーナス」、「人口オーナス」という言葉は、しばしば誤用される。たとえば、「人口が増えれば、国民生活は豊かになる」、「人口が減れば、国民生活は貧しくなる」は、単純にすぎ、ミスリーディングだ。

銀行はなぜ苦境に追い込まれるのか ~金融政策が生み出すリスクと矛盾

2017.07.03

「預貸金利ざや」は毎年5bpずつ縮小を続け、0.25%近傍に

銀行が苦しんでいる。

本業の収益力を示す指標の一つ「預貸金利ざや」は、年5bp(=0.05%)前後のペースで縮小している。この結果、2016年度は0.25%近傍の水準へ低下した可能性が高い(注1)。90年代末の半分以下だ(参考1参照)。

福岡、大阪から転出する外国人 ~東京周辺へ、あるいは地方へ

2017.06.01

1年間に在留外国人の2割弱が住居を変える

総務省が2014年から、人口移動の統計として、「外国人を含む移動者」と「日本人移動者」を公表している。おかげで、その差分から「外国人」の移動状況を推しはかることができる。

日銀の財務悪化への対処法 ~誰が損失を負担するか

2017.05.08

日銀の財務はなぜ悪化するか

(まだかなり先の話になるが、)物価目標の2%が達成されると、日本銀行の財務が悪化し、債務超過に陥るのではないかとの懸念が広がっている。

ロジックは簡単だ。物価目標が達成されれば、日銀は金融緩和を縮小させ、利上げをする必要がある。本来ならば、大量に保有する国債を市場で売却して金利の引き上げを図るところだが、それでは金融市場が混乱しかねない。

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