金融経済イニシアティブ

山本謙三のコラム・オピニオン

山本謙三による金融・経済コラムです。

なぜ人口は首都圏に集まるのか ~東京一極集中論の虚実

2015.05.07

東京一極集中は本当か?

東京一極集中是正論のなかで、よく聞かれるのが、「東京への一極集中が加速している」という話だ。「東京がブラックホールのように若者を際限なく吸い寄せる」との見方もある。だが、東京都の人口の全国シェアは、50年前も今も10%強で変わらない。事実関係をまず確認しておこう。

マネーストックはマネタリーベースの半分しか増えていない

日本銀行による量的・質的金融緩和(QQE)の導入から、まもなく2年が経過する。この間、銀行預金は高めの伸びを続け、マネーストック(M3)も前年比3%弱を記録してきた(2014年5月「異次元緩和が終われば、民間預金は減少する?」参照)。しかし、日銀が供給してきたマネタリーベースの金額に比べれば、マネーストックの増加額は僅少にとどまる。

わが国は豊かさを感じにくい国となるのか ~高齢化と労働市場の構造変化が示唆するもの

2015.03.02

国民一人当たり実質経済成長率はG7諸国平均並み

わが国の国民一人当たり実質成長率は、2000年以降、G7諸国平均並みの伸びを続けている。2008~09年のリーマンショックによる落ち込みも、2013年までに取り戻した。国民生活は着実に豊かになってきたといってよいだろう。

それにもかかわらず、多くの認識は「国民生活はほとんど改善していない」というものではないか。なぜ、そうなるのか。ここでは労働市場の構造変化を踏まえて、一つの仮説を考えてみたい。

なぜ人口流出超の大都市が増えているのか ~北九州、静岡、浜松にみる流出超都市の果敢な取組み

2015.02.06

7つの地方大都市が流出超に

1年前、東京23区および政令指定20都市のなかで、札幌市、福岡市への人口流入が顕著であることを書いた(2014年2月「札幌、福岡はなぜ人口流入超トップ3なのか」 参照)。先般、2014年中のデータが公表されたので、最近の動きを改めて確認しておきたい(参考1)。

なぜ私たちは70歳代まで働かねばならないのか ~社会生活から考える日本経済

2015.01.05

「働く期間」:「働いていない期間」=1:1には無理がある

筆者のかねての主張は、「70歳まで元気に働こう」だ。経済的な理屈づけは別稿に譲り、本稿ではやや直感的な議論を紹介してみたい(2013年9月「70歳まで働いて帳尻を合わせよう」 参照)。

「老後を楽しむ」というのは、動物のなかで唯一ヒトにだけ与えられた特権だろう。他の動物は、生存のために一生自ら餌を探さなければならない。

ATMの利用と手持ち現金

あらかじめお断りすれば、本稿は若者世代の収入動向に関するものではない。実際の財布の中身、つまり手持ち現金の話である。

「今どきの若者は財布の中にあまり現金を持たない」――最近、よく耳にする話だ。周囲の若者たちに尋ねても、たしかに手持ち現金はずいぶん少ないように感じる。

人口動態に揺れる持ち家動向 ~「高齢層はピーク更新、現役層はボトム更新」の謎

2014.11.04

持ち家世帯率は上昇、ただし現役層はボトム更新中。

5年ごとに実施される総務省「住宅・土地統計調査」(2013年調査)が7月に公表された。話題は空き家の増加に集中したが、持ち家世帯率(注)の推移も興味深い。

付加価値ベース貿易統計では、「サービス」の取引ウェイトが高い

グローバル・バリュー・チェーン深化の特徴の一つは、生産拠点のグローバル分散だ(2013年12月「グローバル・チェーンにおける日本企業の立ち位置を探る」 参照)。しかし、バリュー・チェーンは、財だけでなくサービスの国際的な移転も担う。これをOECD-WTO「付加価値ベース貿易統計」にしたがって確認してみよう(注1)。

成長戦略に示された開・廃業率目標

本年6月の安倍政権の成長戦略・改訂版には、前年に掲げられた開・廃業率目標と実績が示されている(参考1)。実は、民主党政権下の「日本再生戦略」(2012年7月)にも、ほぼ同じ内容の目標が盛り込まれていた。

この目標の趣旨は新陳代謝の促進とされる。その趣旨に異論はない。開・廃業率の引き上げも望ましい。しかし、メインメッセージである「開業率が廃業率を上回る状態にする」ことは難しいし、積極的な意味を見出しがたい。なぜか。

若者世代の労働参加はなぜ男女で対照的な動きなのか ~労働力率にみる労働事情

2014.08.01

わが国全体の労働力率は低下中

労働市場への参加の状況を、労働力率(労働力人口比率)でみてみよう。労働力人口とは、働いている者(就業者)と、無業者のうち、仕事があればすぐ就くことができ、かつ求職活動をしている者(完全失業者)の合計である。15歳以上の全人口に占める労働力人口の割合が労働力率だ。

近年の最大の特徴は、わが国全体の労働力率が急速に低下していることだ。労働力率は、1990年代前半にピークをつけたあと低下が続き、現在は過去最低圏内で推移している(参考1)。しかし、15~64歳に限れば、労働力率(同年齢層の人口に占める割合)は一貫した上昇傾向にある。つまり、15歳以上の全人口でみた場合と15~64歳の生産年齢層に限った場合とでは、まったくの逆方向にある。

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