六十にして惑う、I’ m lost!
2018.10.16歳をとると、イノベーションについていくのが大変だ。
ナビ機能は、当初、まったく使えなかった。しかし、単純な地図なら読める。会合の時は、スマホに単純な地図を表示して、移動するよう心掛けた。
地図
だが、地図の方角と自分が今いる方角とが、しばしば一致しない。目の前に駅があるのに、地図では下部に表示されてしまう。
しかたがない。スマホの上下をひっくり返して、位置を合わせる。こうすれば、文字は読みづらいが、駅が上部にくるはずだ。
が、、、
自動回転機能が働いて、地図が元へ戻ってしまう。
むむ。
自動回転機能を止めればよいはずだが、やり方が分からない。
しかたがない。スマホをもって自分が180度横に回転する。これで、駅が背後にくる。地図と自分の方角がようやく一致する。
しかし、待てよ。
今度は目的地の方角が合わなくなる。私が行きたいのは、駅の方向なのだ。このままでは、スマホをもって後ずさりしなければならない!
しかたがない。もう一度スマホの周囲を180度横に回転する。ただし、今度は、スマホの方角を変えないよう、慎重にスマホを手で持ちかえて、だ。こうすれば、上下関係を維持したままで、方角も一致するはずだ。
慎重に、慎重に。よし、駅に正対した。
が、、、
これではスマホの背面をみながら進んでいかねばならないではないか!
だが、私に残された時間は少ない。とりあえず、歩き始める。
スマホの方角を変えないよう慎重に手の角度を調整しながら。少し歩いては、背後からスマホを覗き込んで確認する。
気がつけば、人々が私を奇異な目で眺めている。。。
ナビ
そんな私も、ようやくナビ機能を使えるようになった。目的地の裏手に着くことがあるのがご愛敬だが、便利だ。いつしか、出掛けるときはナビ機能に頼るようになった。
しかし、東京には電波の入りが悪い場所がある。とくに、ビルの立ち並ぶ駅前が悪いようだ。駅は通常出発点だから、始末が悪い。
え~い、ままよ、、、
ナビで方角を確認できないまま、歩きだす。
しばらく歩いて、ナビを覗く。
お~っと、まったく違う方向ではないか。
なんてこった。
しかし、こういう時はあわてないことだ。落ち着いて元に戻るのが登山の鉄則である。
いま来た道を引き返す。
ようやく、出発した駅に戻った。
おもむろにスマホをとりだし、ナビで方向を確かめる。
が、、オーマイ、ガッ。
そうだ、電波は入らないのだった。
I’ m lost!
(イラスト:鵜殿かりほ)