2021年経済センサス 明暗著しい「地域、産業の稼ぐ力」 ~ひとり勝ちの建設業、沈んだ娯楽・観光関連
2023.08.01今年6月、総務省から「2021年経済センサス―活動調査」の詳細データが公表された。5年に1度実施される統計で、全国の企業、事業所の経済活動を市区町村別、産業別に横断的に分析できる。
ここでは、働く人の「稼ぐ力」を示す「事業従事者1人当たり純付加価値額」(以下、「1人当たり純付加価値額」)に焦点を当て、各地域、各産業の立ち位置を確認してみよう(注)。
(注)2021年の経済センサスでは、東京都港区の「医療、福祉」が巨額の純付加価値額を計上している(約40兆円)。年金運用などの関連法人が対象事業所に含まれている模様で、積立金の運用損益(含み損益を含む)が計上されたものとみられる。本稿では、原データから同区の「医療、福祉」を控除し、再集計したものを用いる。
純付加価値額とは、売り上げから原材料費や減価償却費などを差し引いたものを言い、ここから従業員への給与や税金が支払われ、残りが企業の利益となる。「1人当たり純付加価値額」は、「労働生産性」(就業者当たり純付加価値額)とほぼ同じ概念である。