内部留保の増加はなぜ問題でないのか
2017.12.01内部留保は「貯金」にあらず
最近、企業の内部留保の増加がしばしば批判の対象とされる。「給与や配当に回さず、内部留保をただ溜め込んでいる」といった批判だ。先の総選挙でも、「大企業の内部留保への課税検討」を公約に掲げた政党があった。
しかし、企業のバランスシートから分かるように、内部留保(=利益剰余金)は「貯金」ではない。
山本謙三による金融・経済コラムです。
最近、企業の内部留保の増加がしばしば批判の対象とされる。「給与や配当に回さず、内部留保をただ溜め込んでいる」といった批判だ。先の総選挙でも、「大企業の内部留保への課税検討」を公約に掲げた政党があった。
しかし、企業のバランスシートから分かるように、内部留保(=利益剰余金)は「貯金」ではない。
政府の成長戦略のなかに、「開業率が廃業率を上回る状態にし、開業率・廃業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す」というKPI(Key Performance Indicator )がある。その取り扱いが本年から変わった。
本年版(「未来投資戦略2017」)はこれを本文中には明記せず、添付の中短期工程表に一文を載せているだけだ。この結果、昨年まで併記されてきたKPIの実績値も、本年版からは抜け落ちている(参考1参照)。
グローバル・バリュー・チェーンの時代だ。グローバル・サプライ・チェーンとも呼ばれる。
情報通信技術の革新とともに、多くの財、サービスが複数の国や地域の手を経てつくられるようになった。OECDはその特徴を次のように述べる(参考1)。
「人口ボーナス」、「人口オーナス」という言葉は、しばしば誤用される。たとえば、「人口が増えれば、国民生活は豊かになる」、「人口が減れば、国民生活は貧しくなる」は、単純にすぎ、ミスリーディングだ。
銀行が苦しんでいる。
本業の収益力を示す指標の一つ「預貸金利ざや」は、年5bp(=0.05%)前後のペースで縮小している。この結果、2016年度は0.25%近傍の水準へ低下した可能性が高い(注1)。90年代末の半分以下だ(参考1参照)。
総務省が2014年から、人口移動の統計として、「外国人を含む移動者」と「日本人移動者」を公表している。おかげで、その差分から「外国人」の移動状況を推しはかることができる。
(まだかなり先の話になるが、)物価目標の2%が達成されると、日本銀行の財務が悪化し、債務超過に陥るのではないかとの懸念が広がっている。
ロジックは簡単だ。物価目標が達成されれば、日銀は金融緩和を縮小させ、利上げをする必要がある。本来ならば、大量に保有する国債を市場で売却して金利の引き上げを図るところだが、それでは金融市場が混乱しかねない。
宅配業界をはじめ、多くの業種で人手不足が目立つ。しかし、高齢化、少子化のスピードを踏まえれば、これまでやり繰りできてきたことの方がむしろ驚きだ。
わが国では、2016年までの10年間に、生産年齢人口(15~64歳)が760万人減少し、65歳以上人口が820万人増加した。
グローバル・バリュー・チェーンの深化が進む。その原動力は技術革新だ。
まず、90年代、情報通信技術の革新が起こった。インターネットの進化、普及に伴いネットワークが拡大し、通信コストが低下した。画像も鮮明に送れるようになった。