急低下する生産年齢人口比率をどうみるか ~3~4年後には戦後すぐと同じ水準に
2015.06.01戦後すぐと同じ時代が今そこに
15~64歳の年齢層は、一般に「生産年齢人口」と呼ばれる。働き手の主力として想定されている年齢層だ。高校、大学期を含むので、必ずしも今の時代になじまない面があるが、世界共通の尺度として用いられているものなので、本稿もこれに準拠しよう。ちなみに、0~14歳は「年少人口」、65歳以上は「高齢者人口(または老年人口、老齢人口)」と呼ばれる。
山本謙三による金融・経済コラムです。
15~64歳の年齢層は、一般に「生産年齢人口」と呼ばれる。働き手の主力として想定されている年齢層だ。高校、大学期を含むので、必ずしも今の時代になじまない面があるが、世界共通の尺度として用いられているものなので、本稿もこれに準拠しよう。ちなみに、0~14歳は「年少人口」、65歳以上は「高齢者人口(または老年人口、老齢人口)」と呼ばれる。
東京一極集中是正論のなかで、よく聞かれるのが、「東京への一極集中が加速している」という話だ。「東京がブラックホールのように若者を際限なく吸い寄せる」との見方もある。だが、東京都の人口の全国シェアは、50年前も今も10%強で変わらない。事実関係をまず確認しておこう。
日本銀行による量的・質的金融緩和(QQE)の導入から、まもなく2年が経過する。この間、銀行預金は高めの伸びを続け、マネーストック(M3)も前年比3%弱を記録してきた(2014年5月「異次元緩和が終われば、民間預金は減少する?」参照)。しかし、日銀が供給してきたマネタリーベースの金額に比べれば、マネーストックの増加額は僅少にとどまる。
わが国の国民一人当たり実質成長率は、2000年以降、G7諸国平均並みの伸びを続けている。2008~09年のリーマンショックによる落ち込みも、2013年までに取り戻した。国民生活は着実に豊かになってきたといってよいだろう。
それにもかかわらず、多くの認識は「国民生活はほとんど改善していない」というものではないか。なぜ、そうなるのか。ここでは労働市場の構造変化を踏まえて、一つの仮説を考えてみたい。
1年前、東京23区および政令指定20都市のなかで、札幌市、福岡市への人口流入が顕著であることを書いた(2014年2月「札幌、福岡はなぜ人口流入超トップ3なのか」 参照)。先般、2014年中のデータが公表されたので、最近の動きを改めて確認しておきたい(参考1)。
筆者のかねての主張は、「70歳まで元気に働こう」だ。経済的な理屈づけは別稿に譲り、本稿ではやや直感的な議論を紹介してみたい(2013年9月「70歳まで働いて帳尻を合わせよう」 参照)。
「老後を楽しむ」というのは、動物のなかで唯一ヒトにだけ与えられた特権だろう。他の動物は、生存のために一生自ら餌を探さなければならない。
あらかじめお断りすれば、本稿は若者世代の収入動向に関するものではない。実際の財布の中身、つまり手持ち現金の話である。
「今どきの若者は財布の中にあまり現金を持たない」――最近、よく耳にする話だ。周囲の若者たちに尋ねても、たしかに手持ち現金はずいぶん少ないように感じる。
5年ごとに実施される総務省「住宅・土地統計調査」(2013年調査)が7月に公表された。話題は空き家の増加に集中したが、持ち家世帯率(注)の推移も興味深い。
グローバル・バリュー・チェーン深化の特徴の一つは、生産拠点のグローバル分散だ(2013年12月「グローバル・チェーンにおける日本企業の立ち位置を探る」 参照)。しかし、バリュー・チェーンは、財だけでなくサービスの国際的な移転も担う。これをOECD-WTO「付加価値ベース貿易統計」にしたがって確認してみよう(注1)。
本年6月の安倍政権の成長戦略・改訂版には、前年に掲げられた開・廃業率目標と実績が示されている(参考1)。実は、民主党政権下の「日本再生戦略」(2012年7月)にも、ほぼ同じ内容の目標が盛り込まれていた。
この目標の趣旨は新陳代謝の促進とされる。その趣旨に異論はない。開・廃業率の引き上げも望ましい。しかし、メインメッセージである「開業率が廃業率を上回る状態にする」ことは難しいし、積極的な意味を見出しがたい。なぜか。