金融経済イニシアティブ

山本謙三のコラム・オピニオン

山本謙三による金融・経済コラムです。

消えたKPI実績値 ~開業率、廃業率の謎

2017.10.02

KPI実績値が消えた

政府の成長戦略のなかに、「開業率が廃業率を上回る状態にし、開業率・廃業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す」というKPI(Key Performance Indicator )がある。その取り扱いが本年から変わった。

本年版(「未来投資戦略2017」)はこれを本文中には明記せず、添付の中短期工程表に一文を載せているだけだ。この結果、昨年まで併記されてきたKPIの実績値も、本年版からは抜け落ちている(参考1参照)。

円安はなぜよいことばかりではないのか ~多国籍化する中堅・中小企業

2017.09.01

グローバル・バリュー・チェーンの時代

グローバル・バリュー・チェーンの時代だ。グローバル・サプライ・チェーンとも呼ばれる。

情報通信技術の革新とともに、多くの財、サービスが複数の国や地域の手を経てつくられるようになった。OECDはその特徴を次のように述べる(参考1)。

なぜ働き方改革には「定年制の見直し」が欠かせないのか ~人口ボーナス、人口オーナスの大いなる誤解

2017.08.01

人口ボーナス、人口オーナスをめぐる誤解

「人口ボーナス」、「人口オーナス」という言葉は、しばしば誤用される。たとえば、「人口が増えれば、国民生活は豊かになる」、「人口が減れば、国民生活は貧しくなる」は、単純にすぎ、ミスリーディングだ。

銀行はなぜ苦境に追い込まれるのか ~金融政策が生み出すリスクと矛盾

2017.07.03

「預貸金利ざや」は毎年5bpずつ縮小を続け、0.25%近傍に

銀行が苦しんでいる。

本業の収益力を示す指標の一つ「預貸金利ざや」は、年5bp(=0.05%)前後のペースで縮小している。この結果、2016年度は0.25%近傍の水準へ低下した可能性が高い(注1)。90年代末の半分以下だ(参考1参照)。

福岡、大阪から転出する外国人 ~東京周辺へ、あるいは地方へ

2017.06.01

1年間に在留外国人の2割弱が住居を変える

総務省が2014年から、人口移動の統計として、「外国人を含む移動者」と「日本人移動者」を公表している。おかげで、その差分から「外国人」の移動状況を推しはかることができる。

日銀の財務悪化への対処法 ~誰が損失を負担するか

2017.05.08

日銀の財務はなぜ悪化するか

(まだかなり先の話になるが、)物価目標の2%が達成されると、日本銀行の財務が悪化し、債務超過に陥るのではないかとの懸念が広がっている。

ロジックは簡単だ。物価目標が達成されれば、日銀は金融緩和を縮小させ、利上げをする必要がある。本来ならば、大量に保有する国債を市場で売却して金利の引き上げを図るところだが、それでは金融市場が混乱しかねない。

どうやっても人手は不足する ~国の課題は「需要不足」でなく「人手不足」

2017.04.03

過去10年、380万人相当の労働力が失われる計算だったが。。。

宅配業界をはじめ、多くの業種で人手不足が目立つ。しかし、高齢化、少子化のスピードを踏まえれば、これまでやり繰りできてきたことの方がむしろ驚きだ。

わが国では、2016年までの10年間に、生産年齢人口(15~64歳)が760万人減少し、65歳以上人口が820万人増加した。

IoTは世界経済、日本企業をどうつなげるか ~トランプ政権の影響は?

2017.03.01

深化するグローバル・バリュー・チェーン

グローバル・バリュー・チェーンの深化が進む。その原動力は技術革新だ。

まず、90年代、情報通信技術の革新が起こった。インターネットの進化、普及に伴いネットワークが拡大し、通信コストが低下した。画像も鮮明に送れるようになった。

盛り上がる大阪 ~なぜ大阪市は快調な人口流入が続くのか

2017.02.01

政令指定都市1、2を競う大阪市への人口流入

大阪市への人口流入が快調だ。同市の人口は2001年に転入超に転じたあと、2000年代後半は政令指定都市中3~4番目の転入超を続けた。それが最近2年間は、札幌市やさいたま市と1、2を競う転入超数となっている(参考1参照)。

銀行はなぜ協業(アライアンス)に向かうのか ~フィンテックを有効に活用する非金融業に、銀行はどう対抗するか。

2017.01.04

通信業に似る銀行業~~コンテンツの提供に向かう通信業

銀行業を取り巻く環境は通信業に似てきた。本業である通信や決済の領域で収益水準の維持が難しくなり、他業との協業(アライアンス)で新たな収益源を摸索する動きが続く。

通信業は、通信の自由化とデジタル化の進展をきっかけに、ビジネスモデルを大きく変えてきた。通信料金が低下し、重点を、通信への課金からコンテンツの一体提供による視聴料金の確保に移しつつある。

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