銀行はなぜハイリスクの運用に追い込まれるのか ~金融政策は銀行システムをどこへ連れていくか
2020.11.02異次元緩和の開始から7年半、マイナス金利の導入から5年弱、YCC(イールド・カーブ・コントロール)の実施から4年が過ぎた。銀行はいよいよ苦境に立たされている。
考えてみれば、当たり前だ。預金金利はゼロ%に張り付く。一方、リスクフリー・レートである国債(10年以下)の市場利回りは、5年近くゼロ近傍にある。負債と資産の金利が同一水準(ゼロ%)であれば、収益をあげるどころか、経費も賄えない。
国債に投資するならば、少しでもプラスの金利のつく超長期債しかない。実際、地域金融機関ではデュレーションの長期化が進む。
しかし、期間が長くなるほど、金利リスクは高まる。もし日本銀行の物価目標(2%)が達成され、国債利回りも2%上昇すれば、20年物国債の市場価格は3割強下がる。超長期債に多額を投資するわけにはいかない。