内外物価格差の背後にある社会規範、長期金利を弾力的に ~「物価目標2%はグローバルスタンダード」という錯覚(2/2、完)
2022.04.19前回のコラムで、次のように述べた(2022年4月「物価はなぜ上がるのか、適切な政策は?~「物価目標2%はグローバルスタンダード」という錯覚(1/2)」)。
(1)日米の物価上昇率には「一定の格差をもって連動する強固な関係」がある。1978年以降、日本の物価は一貫して米国を下回っている。上昇率が2%を下回るようになった1993年から2021年までの年平均格差は、1.8%だった(いずれも消費税導入・同税率引き上げの年を除く、参考参照)。
(2)この関係は今も変わらない。日本の物価が4月以降2%台に達する可能性が出てきたのは、米国が目標の2%から大きく外れて高騰したことと相関している。
(3)今回の物価上昇は典型的な輸入インフレであり、望ましくない。日本銀行は長期金利の誘導レンジ「ゼロ±0.25%」を堅持する姿勢にある。しかし、政策の堅持は内外金利差の拡大を通じて円安を促し、「望ましくない物価上昇」を加速させる。異次元緩和で失われた金利機能を回復させるためにも、長期金利の柔軟な変動が必要である。
