財政法はなぜ厳格な財政規律を求めているのか ~昭和7年からの教訓とは
2025.03.04最近、財務省を悪者視する書籍や動画が目立つ。国民に寄り添う施策を提案する政治家や評論家に対し、あたかも財政規律を振りかざして抵抗する財務官僚のイメージである。
だが、厳格な財政規律を求めているのは、財政法である。もし「財政規律を求めるのは不適当」とするのであれば、責任は、法律を定めた国会にある。
財政法は今も厳格な財政規律を求めている。だが、近年、その形骸化が進んできた。財政法は発行を認めず、別の法律(特例公債法)を根拠に発行される赤字国債の残高は、いまや800兆円を超えようとしている(2024年度末見込み)。
先人は、何を考え財政法に厳しい財政規律を求めたのか。同法のコンメンタールである「財政法逐条解説(第3版)」(平井平治<当時、大蔵省主計局法規課長>著、一洋社・1949年、以下「逐条解説」)をもとに、法律に込められた先人の思慮を探ってみよう。