グローバル・チェーンに占める日本企業の立ち位置をさぐる ~付加価値ベース貿易統計が示唆するもの
2013.12.02わが国のグローバル・バリュー・チェーンへの関与は低い
OECD(経済開発協力機構)とWTO(世界貿易機関)が共同で、付加価値ベース貿易統計の公表を始めている。従来の貿易統計とちがい、貿易財やサービスに含まれる付加価値を、どの国がもともと創出したかに遡って記録するものだ。
山本謙三による金融・経済コラムです。
OECD(経済開発協力機構)とWTO(世界貿易機関)が共同で、付加価値ベース貿易統計の公表を始めている。従来の貿易統計とちがい、貿易財やサービスに含まれる付加価値を、どの国がもともと創出したかに遡って記録するものだ。
高齢化社会で日本経済の活力を維持するには、女性就業率の引上げが欠かせない。しかし、都市部における保育所、保育士の不足問題は依然解消していない。では、保育士を増やすための仕掛けはどうなっているか。
人口減少社会では、国民福祉は、実質GDPよりも、一人あたり実質GDP(またはGNI)の成長率で測るのが一層適切だ。しかし、高齢化の進む日本ではこれを維持することも容易でない。現役世代が生みだす付加価値を、より多くの高齢者と分かたねばならないからだ。
現役人口(15~64歳の生産年齢人口)と老年・年少人口の割合は、2010年に2:1だった。これが2060年には1:1となる。この変化は、一人当たり実質GDP成長率を年率0.4%以上押し下げる要因となる。豊かさを維持するには、生産性の引き上げとともに、就業者数の増加がどうしても必要となる。
就業者の増加で期待されるのは、高齢者、女性、外国人である。このうち潜在的な数の多さでは圧倒的に高齢者だ。そこで、次のように考えてみよう。
2000年代なかば以降、金融機関の預貯金は、どの業態もおしなべて年率2%前後の伸びを維持してきた。貸出が業態間でかなりのばらつきを示したのに比べ、大きなちがいだ。これには、地方経済が低迷する一方で、年金のコンスタントな流入が地域金融機関の預貯金を下支えしてきたことが大きい。
しかし、これからの人口動態を踏まえると、地域金融機関の預貯金をめぐる環境は大きく変わる。