歯止めなき積極財政への懸念 ~巨額の補正予算が意味するもの
2025.12.0111月下旬、高市早苗新政権が総合経済対策と今年度の補正予算を閣議決定した。対策規模は総額21.3兆円、補正予算は18.3兆円にのぼる。
今年度の当初予算策定時には、物価高に伴う税収増で「うまくいけば今年度中にもプライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)の黒字化目標が達成される」との話があった。しかし、今回の大型補正で、PB黒字化目標は完全に吹き飛ばされたかたちだ。
財政法は、赤字国債の発行を禁止するとともに、補正予算を「特に緊要となった経費の支出の追加を行なう場合」に限るとする(注1)。
(注1)現在の赤字国債は、別の法律(特例公債法など)を国会で決議し、発行しているもの。
国会自らが定める財政法の形骸化が一段と進んでいく。この国はどこへ向かうのだろうか。
