混乱招く日銀の「基調的な物価上昇率」 ~「中長期インフレ予想」はどこまで政策判断の材料となるか
2025.08.01最近、日本銀行が主張する「基調的な物価上昇率」に対して、多くの疑問の声が聞かれるようになった。日銀は「『基調的な物価上昇率』がまだ物価目標に達していない」と主張しているが、実際の消費者物価は3年以上にわたり高騰が続いている。このため、「日銀には国民生活の実態が見えていないのではないか」との声である。
これまで日銀は、「基調的な物価上昇率」の定義を状況に応じて変えてきた。さらに、最近はその定義を必ずしも明確にしていない。
にもかかわらず、政策金利を低水準に据え置く最大の根拠を「基調的な物価上昇率」の動きとする。これでは、国民との対話は難しい。