日本はなぜリバーサル・レートに達しないのか ~貸出増加は「安心材料」ではない
2019.12.01金融緩和の効果に関し、「リバーサル・レート」の議論が注目されている。
金利の大幅低下を背景に銀行収益が悪化すると、資本制約から金融仲介機能が阻害され、緩和効果がかえって反転(リバース)しかねないとの議論だ。
日本でも預貸金利ざやが縮小し、銀行収益が悪化を続けている。にもかかわらず、貸出残高は前年比プラスを維持している(参考1参照)。
日本銀行黒田総裁も、金融仲介機能に障害は出ておらず、「現時点で「リバーサル・レート」の議論が適用されるとは全く考えていない」としている(2019年7月定例記者会見)。
では、なぜ銀行貸出は増え続けるのか。リバーサル・レートに達しないことは安心材料なのだろうか。
