地方は消滅しない ~「消滅可能性都市」の行方と日本経済
2016.10.03「消滅可能性都市」とは
一昨年、日本創成会議(以下、「創成会議」)が公表した「消滅可能性都市」の試算は、大きな反響を呼んだ。「消滅可能性都市」のほとんどが地方部の市町村であったため、地方消滅への危惧が高まり、その後の地方創生論へとつながった。
創成会議が試算する「消滅可能性都市」とは、次のようなものである。
山本謙三による金融・経済コラムです。
一昨年、日本創成会議(以下、「創成会議」)が公表した「消滅可能性都市」の試算は、大きな反響を呼んだ。「消滅可能性都市」のほとんどが地方部の市町村であったため、地方消滅への危惧が高まり、その後の地方創生論へとつながった。
創成会議が試算する「消滅可能性都市」とは、次のようなものである。
以前、最近の人口動態の特徴は、東京(圏)一極集中でなく、中核4域7県への凝縮にあると書いた(2016年2月「ITが人口の大都市集中を加速させる」参照)。中核4域7県とは、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)、愛知、大阪、福岡である。
しかし、総務省が7月に公表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」(以下、「人口動態調査」)では、多くのメディアが「東京一極集中が止まらない」と報じた。
昨年度の後半から、地域金融機関の預金の伸び鈍化が目立つ。
預金残高の前年比(以下同じ)は、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合のいずれも、低下に転じた。たとえば地方銀行は、昨年秋を境に、それまでの3~4%前後から足許2%前後まで低下している(参考1)。
都銀が、法人預金中心に十数年ぶりの高い伸びを示しているのとは対照的だ。
人手不足が強まる日本で、追加的な労働力の供給源は、高齢層、女性、外国人の3カテゴリーとなるだろう。では、(在留)外国人はどれほど労働供給に貢献しているか。
マイナス金利の陰に隠れたかたちだが、日銀による巨額の国債購入が続いている。2013年4月の量的・質的金融緩和(QQE)以降、本年3月までに日銀の国債保有額は220兆円も増加した。これは、この間の新規の国債発行額の約2倍に当たる。
総務省が5年ごとに実施する「全国消費実態調査」の2014年調査結果が、昨年公表された。
家計の金融資産・負債(2人以上世帯、含む非勤労者世帯)の状況をみると、資産の高齢層への偏在や預金指向の強さといった従来の特徴に、大きな変化はみられなかった。
そうしたなかで、今回とくに目立ったのは、ネット金融資産保有額の世代間格差の拡大である(参考)。
「東京一極集中」という表現はミスリーディングだ。都道府県単位でいえば、最近20年間の人口移動の特徴は、「中核4域7県への凝縮」にある(注1)。中核4域7県とは、東京圏4都県(東京、神奈川、埼玉、千葉)と大阪、愛知、福岡だ。
(注1)市町村単位でみれば、中核4域内大都市に札幌、仙台などを加えた10数都市への「凝縮」が特徴となる。
これは、1990年代半ばまでの20年間と比較すれば、より鮮明となる。当時の人口移動の特徴は、東京、大阪、愛知からの人口流出と、周辺各県への人口流入だった。
これが、90年代半ばを境に逆転した。
政府の「まち・ひと・しごと創生」の方針に従い、多くの自治体が地方人口ビジョンと地方版総合戦略を発表している。政府の基本目標は、「地方・東京圏の転出入均衡(2020年)」や「2020年までの5年間で若者雇用創出数30万人(地方)」だ。これにならって、ほとんどの地方自治体が人口の転入超(または転出超減)を目標に掲げる。
しかし、地方から東京圏への転出超は、2015年中はむしろ拡大した(11月までの実績)。2014年中の実績11.6万人から政府目標を機械的に計算すれば2015年は2万人程度の縮小が期待されたが、実際には前年同期比1.2万人の拡大となっている(参考1)。
1年前、財布の中の現金残高が減っている話を書いた(2014年12月「若者たちの財布の中身は本当に減っているのか?」参照)。クレジットカードの普及やATM台数の増加で、多額の現金を持ち歩く必要がなくなったからだ。
では、電子マネーの効果はどうか。
総務省統計局の「家計調査」(総世帯)を基に年齢層別の一世帯当たりの消費動向をみると、世帯主が50歳代の世帯が最も消費支出が多い。ただし、これは世帯の人員数に影響されている。
そこで、これを世帯平均人員で割り、一人当たりの消費支出額を計算してみた。結果は次のとおりである(注)(後掲参考1参照)。