金融経済イニシアティブ

私たちは小中学校で何を学んだか

2022.04.01

小中学校で何を教えるかは、いつも難しい。

なんといっても「三つ子の魂百まで」である。

 

生きていくための知識と知恵が必要だ。

しかし、内容は常に上書きされねばならない。

 

ローマ字

 

ローマ字。

以前は小学4年で習った。今は3年で習うようだ。

しかし、英語の先生からは「教えないでほしい」との声もあるという。

 

英語の先生 “Good morning, please write down your name on your notebook.(おはよう。あなたの名前をノートに書いてください)”

TS君 「My name is Tuzi Sitizyuro.」

先生 “Thank you.  Hm…. So, your name is トゥズィ スィティズュロ, right?”

TS君 “Uh...違います ”

先生 “Oh, sorry, you are not トゥズィ スィティズュロ.  So, what is your name?”

TS君  “My name is 辻七十郎.”

先生 “Huh?”

TS君 “つ じ し ち じゅ う ろ う”

先生 “つ じ し ち じゅ う ろ う.  Oh, …your name is… Tsuji Shichijuro, not Tuzi Sitizyuro, right?“

TS君 “???”

 

こんな混乱が、あちこちで起きているようだ。

nameは「ナメ」、noteは「ノテ」である。

 

国語の先生「しかし、だ、な、山本君」

私「はぁ」

先生「君はそういうが、今、君はこの原稿をどうやって書いてる?」

私「はぁ、パソコンで」

先生「入力方法は?」

私「はぁ、ローマ字入力で」

先生「だろ。さくさく打鍵できているのは、ローマ字教育のおかげだぞ」

山本「はぁ。。。(しかし、なんか本末転倒のような)」

 

要するに、ローマ字は、漢字、ひらがな、カタカナと並ぶ「日本語」のようである。

たまたま(?)アルファベットを使ったばかりに、混乱が起きているということか。

 

小学校での英語の授業も始まった。

いっそのこと、国語のローマ字の時間に代えて、英語の時間に「日本語の発音を英語のアルファベットで表記する法」として教えてはどうか。

 

地図記号

 

地図記号も、小学3、4年で習う。

紙面の大きさに限りがあった時代、地図記号は重要な知識だった。

しかし、今は違う。デジタルの時代である。

スマホの画面をピンチアウトすれば(二本の指で広げる)、簡単に地図を拡大できる。

地図記号に頼ることなく、「**郵便局」、「**小学校」のレベルまで文字を拡大できる。

 

息子「あ~、めんどくせ。なんで地図記号なんか覚えなきゃいけないんだ?」

親「ふむ、それは、だ、な。。。ん~と、クイズ番組で答えられるようにするためじゃないか」

 

平方根あるいは確率

 

「平方根を筆算で求める方法」は、その昔、中学の数学の1単元だった。さすがに今は、単元から外れたようだ。

 

中学の途中で転校した私は、授業の進み具合の違いから、これを学び損なった。

 

転校先の中学校では、授業の冒頭に毎回「5分間テスト」があった。

同級生は、すでに「平方根を求める方法」を習っており、万全の準備でテストに臨んでいた。

 

私は連日の零点。

 

1週間後、数学の教師に呼び出された。

 

N教師「山本君、全く分からんやろ」

私「あ、、、はい」

N教師「そやろな、習っとらんもんなぁ」

私「はぁ」

N教師「でも、気にすること、あらへんで」

私「へ?」

N教師「これ、入試に絶対出ぇへん。一生、使うこともあらへん。数学って、そんなもんや」

私「。。。」

 

今振り返れば、教師のいう通りだった。

これまでの長い人生で、平方根を筆算で求めるように指示されたことは一度もない。

 

なるほど、数学は「そんなもんや」だった。

 

私「てな、わけで、僕は平方根の求め方をいまだに知らない」

妻「ふ~ん、で、何も困らなかったわけ?」

私「うん、困ったことは一度もない」

妻「あ、そ。私も微積分、確率は分からないけど、一度も困ったことはない」

私「ん?。。。微積分はともかく、確率は困るやろ」

妻「ん?べつに」

私「確率やぞ」

妻「例えば?」

私「ん~~と」

妻「ほら」

私「ん~、例えば、だ、な。君がたまに買う宝くじ。いつも当たらず、損してる。当たっても少額。あれが確率だ」

妻「あれは、クジでなく、夢を買ってる」

私「ん?いやいや、確率の話だ」

妻「ふん、なんともつまらん話だね」

私「いや、そうじゃ、なくて、だ、な」

妻「昔から、そういう人間だとは思ってたけどね」

私「いやいや、そうじゃなくて。地方自治体に一部の収入を引き渡したあとの金額を皆に分配するとして、100%以上回収できる確率は、、。。。

妻「・・・(立ち去る)」

 

 

(イラスト:鵜殿かりほ)