金融経済イニシアティブ

AI(人工知能)が人に寄り添う?

2025.08.01

先日、テレビ番組が「AIの進歩は著しく、人に寄り添う会話もできる」と興奮気味に語っていた。

 

私「ん?人に寄り添う?」

妻「そうよ、人間よりもいいかもね」

私「そうじゃないだろ」

妻「なによ?」

 

私「だれが何と言おうと、AIはコンピューターだ」

妻「だから?」

私「だから、、、『人に寄り添う』じゃなく、、『人に寄り添うふりをする』が正解だ」

妻「人に寄り添うふりをする?、、、ふむ、あなたといっしょね」

私「・・・」

 

登録した記憶がない!

 

先日、証券会社から、ログイン追加認証を登録するように、とのハガキが届いた。

フィッシング詐欺が多発していることへの対応だろう。

私自身は、オンライン取引を行なったことがない。しかし、放置するわけにもいかない。

 

ハガキの案内にしたがい、会社のサイトから追加認証の設定を試みる。

 

しかし、「取引パスワードを入力」の段になり、行き詰った。

取引パスワードは、サイトにアクセスするパスワードとは別物のようだ。

 

(そんなの、以前に登録したんだっけ?)

 

あてずっぽうで何回か試みるうちに、こんどは「アカウントをロックしました。パスワードの変更やロックの解除は、証券会社までご連絡ください」との表示に変わった。

 

あちゃ~。

 

AIオペレーターと対話する?

 

ハガキには、2つの電話番号が記載されていた。

一つは「AIオペレーターが受け答えするダイヤル」、もう一つは「サポート専用ダイヤル(個人のお客様)」だ。

前者は24時間対応、後者は営業時間帯が限られるという。

 

私の選択は、当然、専用ダイヤルだ。

 

さっそく電話をかけてみる。****-△△-□□□□、と。

 

呼び出し音のあと、すぐにつながった。

だが、テープによる音声案内だった。

 

「現在電話がたいへん込み合っており、おつなぎすることができません。追加認証の必須化に関するご案内は、AIオペレーターをご利用いただけます。番号は****-**―**―**―**。AIオペレーターをあわせてご利用ください。」

 

2度テープの音声が流れ。。。そのまま回線が切られた。

えっ!?

何分でも待つ覚悟はてきていたが、切られてしまった。。。。

 

念のためもう一度電話をかけてみたが、同じだった。

うぐぐぐぐ。

 

しかたなく、AIオペレーターに電話をかける。

番号「****-**―**―**―**」と。

 

テープの音声に従い本人認証を行なった末、AIオペレーターにつながった。

 

AIオペレーター「ありがとうございます。(中略)。それでは、ピッの発信音のあとにご用件をお話しください」

私「え~と、昨日、そちらからハガキを頂戴しまして、、、追加認証の登録をオンラインで行いたいと考え、マイページまで入ったのですが、、、、え~、、、手続きをとろうとしたところ、、」

AIオペレーター「かしこまりました。では、お調べしますので、少々お待ちください」

私(え?まだ本題に入ってないぞ。。。)

 

(しばらくして)

AIオペレーター「申し訳ありません。ご用件が分かりませんでした」

私(そりゃ、そぅだろ)

AIオペレーター「それでは、ピッとの発信音のあとにご用件をお話しください」

 

私「え~と、取引用のパスワードを忘れてしまい、アカウントがロックされました。解除の方法を教えてください」

AIオペレーター「かしこまりました。では、お調べしますので、少々お待ちください」

 

(時間がかかる)

 

AIオペレーター「お手続きには証券窓口にお電話ください。アカウントのロック解除は、郵送での手続きとなります。ほかにご用件はありますでしょうか。」

 

私「では、証券窓口の電話番号を教えてください」

AIオペレーター「かしこまりました。では、お調べしますので、少々お待ちください」

私「。。。。」

 

AIオペレーター「ダイレクトのお客さまの窓口は****-△△-□□□□、コンサルティングは****-〇〇―✕✕✕✕となります。ほかに、ご用件はありますでしょうか」

私「ちょっと聞き取れなかったので、もう一度電話番号を言ってください」

AIオペレーター「かしこまりました。では、お調べしますので、少々お待ちください」

私(うっ)

 

AIオペレーター「ご用件が分かりませんでした」

私(えっ!?)

AIオペレーター「ピッとの発信音のあとにご用件をお話しください」

 

私「だからぁ、証券会社の窓口の電話番号を教えてください」

AIオペレーター「かしこまりました。では、お調べしますので、少々お待ちください」

私(もはや驚かない)

 

AIオペレーター「ダイレクトのお客さまの窓口は****-△△-□□□□、コンサルティングは****-〇〇―✕✕✕✕となります。ほかに、ご用件はありますでしょうか」

私;「いえ、もう結構」

 

 

やれやれ。

私の場合、日ごろ担当者とのコンタクトもないので、とりあえず、ダイレクトにかけてみることにする。

****-△△-□□□□、と。

 

つながった。

だが、向こうはテープの音声だった。

 

「現在電話がたいへん込み合っており、おつなぎすることができません。追加認証の必須化に関するご案内は、AIオペレーターをご利用いただけます。番号は****-**―**―**―**、AIオペレーターをあわせてご利用ください。」

 

うっかりしていた!

AIオペレーターに教わった番号は、さっきかけた電話番号と同じだった。

うぐぐぐぐぐ。。。

 

 

(イラスト:鵜殿かりほ)