金融経済イニシアティブ

横浜アリーナで、桑田佳祐を聴く

2020.09.17

20年近く前のこと。

 

中1の長男が、貯めたお金で桑田佳祐のコンサートに行きたいと言い出した。

 

妻は、贔屓(ひいき)のアーティストのコンサートやサッカー選手のサイン会に、手製のうちわをもって出かけるような女性である。

一も二もなく息子に賛同し、私の預かり知らぬところで話は進んでいた。

 

しかし、いかんせん、平日の夜である。

保護者の同伴が必要だ。

妹はまだ小さく、妻が息子を連れていくわけにもいかない。

 

こうなって初めて、私への期待が高まる。

私としては、本来卓袱台(ちゃぶ台)をひっくり返したいところだが、残念なことに、わが家に卓袱台はない。

 

仕事の結構忙しい時期だったが、なんとかやり繰りして、午後の休暇をとった。

 

横浜アリーナにて

 

新横浜駅で息子と落ち合い、夕食をラーメン博物館ですませ、いざ出陣。

 

聖地横浜アリーナは、開演前から熱気に包まれていた。

席は、ステージからやや遠めのアリーナ席。

会場の広さに圧倒される。

 

演奏が始まると、なんと、観客は総立ちである。

しかも、公演中ずっとだ。

息子も意気揚々と立ち上がり、手を振り、叫んでいる。

エ~ィ!

 

私も、はじめはお付き合いしたが、すぐに腰掛ける。

 

会場をぐるっと見回すと。。。

いた、いた、遠くに保護者らしき年配の女性がやはり腰掛けていた。

 

「おぉ、あなたもですか。ご苦労様です」

声なき声であいさつを交わす。

 

自宅で

 

帰宅後、疲れた私はさっさと床に就いた。

 

隣のリビングでは、興奮冷めやらぬ長男が、口角泡を飛ばしながら妻に報告している。

 

長男「いやぁ、いい。やっぱ、いいよ」

妻「おゃ、そぅかい」

長男「桑田はやっぱすごいよ」

妻「ふむふむ」

長男「横浜アリーナ全体が揺れるんだ」

妻「ふ~ん」

長男「観客も、みんな一緒にさ」

妻「そりゃ、よかった」

長男「で、さ、それはよかったんだけど」

妻「ん?」

長男「それはよかったんだけど、おやじがさぁ」

妻「ん、どした?」

長男「おやじがさぁ、ノリがわりぃんだ」

妻「ん?」

長男「ノリが悪くてさ、ずっと座ってんだ。ったく、やんなるぜ」

妻(爆)

 

 

(イラスト:鵜殿かりほ)